「薬事法(以下、「旧法」とする。)」は、平成26年11月25日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」とする。)」に改正されましたが、当ウェブサイト内には旧法に基づく記載がございます。 ご容赦ください。
医療機器の承認申請は医療機器製造販売業者がおこなう手続きです。
医療機器製造販売業者が高度管理医療機器(クラス3・4)と一部の管理医療機器、もしくは新医療機器(類似製品を示すことができない医療機器)を市場に出すには、取り扱う医療機器(製品)について品目ごとに独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)へ承認申請をし、厚生労働大臣の承認を受けます。承認を受けた医療機器でないと、市場に出すことはできません。
医薬品等の製造販売の承認(薬事法第14条)
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品および第23条の2第1項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く)、厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品または医療機器(一般医療機器および同項の規定により指定する管理医療機器を除く)の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
承認申請が必要な医療機器
- 高度管理医療機器(クラス3・4)
- 認証基準のない(指定管理医療機器以外の)管理医療機器
- 認証基準に適合しない(指定管理医療機器以外の)管理医療機器
- 新医療機器
承認申請では、承認の対象となる医療機器であること(承認基準あり・なし、臨床試験あり・なし)、承認基準があるものについては社内体制・製造所がその基準に適合していることや、その医療機器の製造における技術基準(JIS規格等)、使用目的、効能・効果などが基準に適合していることを製造所(製造業者)と連携して書類に落とし込み、医療製造販売業者がPMDAへ申請します。PMDAはその申請内容に整合性があることを確認・審査し、整合性が認められれば厚生労働大臣が承認します。
【1】申請区分と承認基準
承認申請には以下の4つの申請区分があります。
- 臨床試験あり
臨床試験成績に関する資料の添付が必要な医療機器
- 承認基準なし・臨床なし
承認基準の定めのない医療機器もしくは承認基準に適合しない医療機器(臨床試験成績に関する資料の添付が不要のものに限る)
- 承認基準あり・臨床なし
承認基準の定めのある医療機器であって、承認基準に適合する医療機器
- 管理医療機器承認および認証基準なし
認証基準の定めのない医療機器もしくは認証基準に適合しない管理医療機器(臨床試験成績に関する資料の添付が不要のものに限る)
承認基準は、国際基準等からなる臨床試験成績に関する資料の添付が不要の範囲の品目についてPMDAがその基準への適合性を確認・審査するための医療機器等に関する基準をいい、厚生労働大臣が定めます。(厚生労働省通知「医療機器の製造販売承認申請について(薬食発第0216002号平成17年2月16日付)」)
個別承認基準
承認申請を要する医療機器の中で、特定の医療機器については厚生労働省より承認基準が制定されています。各基準は随時、厚生労働省の通知により改定・追加、削除されておりますので、新しいものを確認する必要があります。
PMDAの医療機器の承認申請等にかかる関連通知のページをご参照下さい。
以下は承認基準のある医療機器の一例です(PMDAウェブサイト上のPDFファイルが開きます)。
「コンタクトレンズ承認基準の制定について(平成17年4月1日 薬食発第0401034号)」
「眼内レンズ承認基準の制定について(平成17年4月1日 薬食発第0401036号)」
「インスリンペン型注入器承認基準の改正について(平成23年7月29日 薬食発0729第7号)」
「歯科用インプラント承認基準の制定について(平成21年5月25日 薬食発第0525004号)」
このように、承認基準は個別の医療機器について制定されており、以下について記載されています。
- 適用範囲
対象となる医療機器が一般的名称で指定されています。
- 技術基準
性能、機能、有効性に関する項目等が定められています。
- 使用目的、効能・効果
基準の対象となる使用目的、効能または効果が限定されています。
基本要件基準
「薬事法第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準(平成17年3月29日厚生労働省告示第122号)」
製品についての基本的要件の基準です。以下、記載されている基準事項の抜粋です。それぞれの医療機器についてのチェックリストで適合性を示します。
- 設計
- 医療機器の性能および機能
- 製品の寿命
- 医療機器の化学的特性等
- 製造または使用環境に対する配慮
- 製造業者・製造販売業者が提供する情報
- 性能評価
QMS基準
「医療機器および体外診断用医薬品の製造管理および品質管理の基準に関する省令(平成16年12月17日厚生労働省令第169号)」
いわゆるQMS省令です。承認を受ける医療機器を製造する製造所(製造業者)の体制がこの基準に適合しているか、製造所がQMS適合性調査を受けます。
【2】医療機器の承認申請のプロセス
上図は、承認申請の流れを示しています。
医療機器製造販売業許可業者が申請者となり、PMDAへ承認申請し、厚生労働省が承認します。
承認基準あり・臨床なしの医療機器の承認申請について
承認基準あり・臨床なしの医療機器の承認を受けるためには、品質、性能、安全性等に関して基準への適合性を製造所(製造業者)と連携しながら調査・確認して、承認基準を満たしていることが立証できるのであれば、立証のもとになる資料と共に申請します。
申請する製品に応じて、その内容・適合性を立証する書類を添付資料として揃えて申請しなければなりません。添付資料は製品によって異なります。申請した資料の内容から製品が承認基準に適合したものであるか、PMDAが確認・実地調査し、審査を経て、適合性が認められれば製品は承認されます。
承認申請の添付資料の内容については、厚生労働省の通知以下のように示されています。
「医療機器の製造販売承認申請について(平成17年2月16日薬食発第0216002号)」
「医療機器の製造販売承認申請書添付資料概要作成の手引きについて(平成17年2月16日薬食機発第0216003号)」
「医療機器の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について(平成17年2月16日薬食機発第0216001号)」
あわせてQMS適合性調査では、製造所のQMS基準への適合性を実地調査も含め確認・審査されます。
申請の準備の際には、厚生労働省から随時発出されている通知や、省令・告示等の最新の情報を確認しながら進めていくことも重要です。
【3】承認機関
承認申請の申請先は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)です。
PMDAが申請内容を確認・審査し、厚生労働大臣が承認します。
【4】承認申請にかかる費用
承認申請には以下のような費用が必要です。
- PMDAへ支払う承認手数料
- 承認にかかる書類の作成やコンサルティングを専門家へ依頼した際の専門家へ支払う手数料
PMDAの承認手数料は、医療機器のクラスや承認基準・臨床試験の有無によってによって異なります。承認基準あり・臨床なしの医療機器でQMS適合性調査も合わせて約40万円程度ですが、臨床試験が必要なものになれば500万円以上と、様々です。PMDAの料金の詳細は、PMDAの各種審査等手数料についてのページにて、医療機器の審査にかかる手数料(PDF)でご覧いただけます。まずはPMDAへ相談・見積もりを依頼してみて下さい。
専門家に書類作成やコンサルティングを依頼した場合は、専門家や承認区分、依頼内容によって異なりますが、おおよそ約80万円~200万円程でしょう。
【2】医療機器の承認申請のプロセスでわかるように、承認申請には様々な添付資料が必要です。承認申請の準備は、承認基準と適合性の照合、厚生労働省の通知等の確認や資料収集など、ひとつひとつに時間がかかるものばかりです。また、臨床試験が必要であるものは、さらに手間と時間・費用を要します。
後発医療機器でかつ臨床試験が必要でないものであれば、専門家を交えて集中的に行うことで承認申請への準備期間が約6~8ヶ月、PMDAへの申請から承認までの期間が約4ヶ月程度、必要となるでしょう。