医療機器は人の身体や健康に影響を及ぼすものであることから、法令(薬機法等)や通知通達により広く規制されています。しかし、医療機器には簡易なものから複雑なものまで非常に幅広く多様な種類があるため、一律の規制はされていません。
医療機器の規制は、取り扱う事業者様が製造をするのか、販売をするのかなど業態や、医療機器の内容(クラス分類など)によって異なります。
このページでは、事業の態様や医療機器のクラス分類によってどのような許可や手続きが必要なのかを整理しています。医療機器に該当するかどうかや、医療機器のクラス分類については「医療機器の一般的名称等一覧」のページを参考にしてください。
図:医療機器を取り扱う業態
医療機器に関する事業を開始しようとした場合、大きく2つの手続きがあります。
- 事業者の手続き
- 製品の手続き
当ページの以下の項目で、順にご確認ください。
【1】事業者の手続き
【2】どの業許可、製品の手続きが必要かを確かめる
【3】製品の手続き
【1】事業者の手続き
以下が、事業者に必要な手続きです。
業態 |
許可の種類 |
備考 |
日本国内に医療機器製品を流通させる権限と責任を有する。
製造販売業の許可だけでは製造や販売(クラス1は除く)はできない。 |
第1種医療機器製造販売業許可 |
クラス3〜4の医療機器も扱える。クラス1〜2も扱える。 |
第2種医療機器製造販売業許可 |
クラス1〜2の医療機器が扱える。 |
第3種医療機器製造販売業許可 |
クラス1のみの医療機器が扱える。 |
医療機器の設計・開発、主たる製造(組立)、滅菌、輸入の場合国内の最終保管を行う。
製造業だけでは医療機器製品の販売はできない。 |
医療機器製造業登録 |
国内の製造業 |
医療機器等外国製造業者登録 |
外国にある製造業 |
販売、貸与を行う。
販売業だけでは、製造や輸入はできない。 |
医療機器販売業・賃貸業届出 |
クラス2の医療機器は販売にあたって届出が必要。クラス1の医療機器は届出も不要。 |
高度管理医療機器販売業・賃貸業許可 |
高度管理医療機器と特定保守管理医療機器(クラスに関わらず)は許可が必要 |
医療機器の修理を行う。 |
医療機器修理業許可 |
修理の医療機器に応じた区分(特定・非特定、計18区分)がある。 |
手続きは行う業態によってきます。
製造販売、製造、販売と似た言葉が並びますが、それぞれ別になりますので注意してください。
製造販売業は、1事業者において1つの許可を取得します。第1種を取得すれば、第2種や第3種は必要ありません。
製造業・修理業や販売業は、製造所や販売所ごとに必要になります。
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【2】どの業許可、製品の手続きが必要かを確かめる
モデルケースを想定して、必要な手続きをまとめました。
想定したモデルケース
- 製造販売元・輸入元となって、医療機器を日本国内市場に流通させる場合
- 医療機器を製造したり、外国から輸入した医療機器の国内受入を行う場合
- 元売業者(製造販売業者)から医療機器を仕入れ、販売する場合
- 医療機器の修理をおこなう場合
製造販売元・輸入元となって、医療機器を日本国内市場に流通させる場合
製造販売元・輸入元は、上図中の製造販売業者にあたります。
業許可は取り扱う製品に応じた種別(第1種〜第3種)の医療機器製造販売業許可を取得します。
「製造販売」は日本国内市場に医療機器製品を流通させる責任を負います。「製造販売」となっていますが「製造」と「販売」ができるものではありません。「製造」は製造業が、「販売」は販売業が行います(クラス1は販売業は必要ありません)。「製造販売」に加え「製造」や「販売」も行う場合は別途それぞれの手続きをしなければいけません。製造販売業者は、品質管理・製造管理の体制づくり(医療機器QMS)が必要になります。
製造販売業者は、製品に対する手続き(製造販売届、認証申請、承認申請)を行います。
- 自社で医療機器の製造も行う場合:図中の医療機器製造業の登録もあわせて手続きします。
- 外国から医療機器を輸入する場合:輸入先が医療機器外国製造業者の登録を受けている必要があります。また、輸入した製品を日本で受入れる最終保管の場所は製造業の登録も行います。既に医療機器製造業の登録をしている他社に受入れを委託することもできます。
参照ページ
製造販売業の許可を取得するには各責任者を配置し、体制づくりを行わないといけないため自社で体制が作れないような場合は、既に許可を持っている事業者に委託することとなります。
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医療機器を製造したり、外国から輸入した医療機器の国内受入をおこなう場合
図中の製造業者にあたります。
国内の製造業者は医療機器製造業登録、外国の製造業者は医療機器外国製造業者登録が必要です。
登録する製造工程は、設計開発(クラス1は不要)と、主たる組立て、そして、最終の出荷判定を行う製造所です。
製造販売業者の管理監督の元、製品と製造工程に応じた品質管理・製造管理の体制が必要になります。
参照ページ
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元売業者(製造販売業者)から医療機器を仕入れ、販売する場合
図中の販売業・賃貸業者にあたります。
医療機器販売業・賃貸業許可を取得します。管理医療機器の販売の場合は、届出。高度管理医療機器の販売の場合は、許可手続きが必要になります。クラス1の医療機器については特に手続きは必要ありません。ただし、特定保守管理医療機器の場合はクラス分類によらず許可が必要です。
参照ページ
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医療機器の修理をおこなう場合
図中の修理業者にあたります。
医療機器修理業許可を取得します。
主たる組立てを行った医療機器製造業者が修理する場合は修理業の許可は不要です。保守点検のみを行うだけの場合も修理業は不要です。
修理業の許可は、修理対象の医療機器の区分に応じて第1区分〜第9区分と、特定保守の第1区分〜第9区分があります。複数にまたがるときは、各区分の許可を取得します。
参照ページ
【3】製品(品目)の手続き
以下が、製品に必要な手続きです。製品の手続きは、製品の品目ごとに製造販売業者が行います。製品のクラス分類等により提出先が変わります。
クラス分類 |
手続き |
提出先 |
クラス1 |
製造販売届 |
PMDA |
クラス2 |
認証 |
登録認証機関 |
クラス3〜4 |
承認 |
PMDA |
- 参照ページ:医療機器の一般的名称等一覧
- いずれのクラスにおいても、基準に該当しないものや新医療機器となるものは承認申請になります。
- クラス3でも認証基準が設けられたものは認証となるものがあります。
- 登録認証機関については厚生労働省のページを参照してください。
- 平成27年12月限りで、厚生局に提出していた「輸入届」の手続きは廃止となりました。
必要な手続きに応じて費用や時間、準備する体制も異なってきます。
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